Notionワークフロー
Notionとは
簡単にいうと高性能なWikiに強力なデータベース機能が組み込まれたものです.基本はページを作成して,そのサブページを作っていく感じです.ただ,Notionはかなり直感的にコンテンツを作れます.テキストだけではなく,表や画像などかなり扱いやすいです.例えば,2段や3段といった段組が簡単に行えるし,Markdown 方式でもサクサク書けるのはとてもいい感じです.また,外部サービスとの連携も充実してきていて,さまざまなコンテンツをページに埋め込むことができます.
単純なプロジェクトのドキュメントなどでは Wiki のような運用で問題ないと思いますが,さまざまなコンテンツを含むナレッジベースのようなものを構築する場合には,Wiki ベースの管理方法は上手くいかないことはすでに分かっているので,Wikiのように使っていてはダメだと考えます.あくまで,個人的な意見です.それではどうするかということをこれから書いていきますが,その前にNotionについてもう少し知っておきましょう.
英語版と日本語版のスクリーンショットが混在してしまっているのでご了承ください
ページとブロック
Notion はすべてページであり、ページはブロックで構成されています.テキストや見出し、数式やコード、埋め込みなどすべてがブロックになっています.Notionではブロック単位で編集したり、ブロックの中を編集することになります.
2種類のページ
Notionでは、まずページを作成します.ページの作成は 新規ページ ボタンを押します.
Notionには2種類のページがあります.通常ページとデータベースページです.新規ページを作成すると次の画面になります.
空のページ(アイコン付き)や、テンプレートからページを作成、データベースページを作成するショートカットが並んでいます.
データベースページはテーブル,ボード、タスク,リスト,カレンダー,ギャラリーがあり,データベースにページの追加や削除をします.これが良くできていて,テーブルやタスク,リストなどすべてが相互に切り替えることができます.ビューを切り替える感じですね.実際,データベースにビューをいくつも設定できて,各ビューがテーブルだったり,タスクだったりするわけです.
ブロック
Notion の特徴にこのブロックがあります.簡単にいうと1文が1ブロックです.ブロックはテキスト,数式,画像,水平線,見出しといったさまざまな要素です.Notionではストレージの単位がブロック単位です.このブロックの入力が洗練されていて,通常はMarkdownで書きますが,スラッシュ(/
)コマンドで選べたり,ショートカットを使ったりと,慣れるとかなり速く入力できます.
インライン
ページはブロックで構成されていますが、一部のブロックは別のブロックの中に含めることができます.このようにブロックの中に別のブロックを入れることをインラインといいます.
インライン形式のページ
もちろん、ページの中にページを入れることができます.このようなページをサブページといいます.サブページの作成は /page
コマンドを使います.
また、+
コマンド(または [[
コマンド)を使って作成できます.この場合、コマンドの後ろにページ名を入力します.
サブページを作る方法はこの2種類ですが、実はそれぞれ少し違います.それは /page
コマンドがブロック形式のページ、 +
コマンドがインライン形式のページとなります.
見た目が若干違うことがわかりますか?
実際に作ってみると違いがわかります.以前はブロック形式のページしか作れませんでしたが、新たにインライン形式のページが追加されました.インライン形式のページであれば、ブロックの中にサブページを含めることができます.これにより、ページの説明などをその後ろに書くことができます.これはブロック形式のページではできません.
どちらもサブページであることには変わりません.インライン形式のページからブロック形式のページへの変換は可能ですが、ブロック形式のページからインライン形式のページへは(私が調べた限りでは)変換できません.その場合、インライン形式のページを作って、ブロック形式のページの中身をコピーや移動するしかありません.どちらの形式のページがいいかについては、特に決まりはないと思いますが、通常はインライン形式のページで問題ありません.
データベース
データベースはNotionの主要な機能の1つです.データベースはページの集まりです.データベースのページはプロパティを持つことができます.さまざまプロパティが用意されており、ページに情報を追加することができ、プロパティによってフィルターやソートができます.また、データベース間の参照(ロールアップ)が可能で、あるデータベースから別のデータベースを参照して一緒に表示したり、別のデータベースのページと関連づけできます.さらに、サブアイテム機能を追加することで、単一のデータベースでページ間の親子関係を構築することも可能になりました.
データベースはページの集まりですが、それを表示するための機能としてビューがあります.新規ページでデータベース作成のショートカットは、このビューが並んでいる ことになります.ビューはデータベース固有のものと、リンクドビューがあります.リンクドビューは任意のデータベースを選んで、それに対してビューを作成できます.また、1つのリンクドビューにさまざまなデータベースのビューを作成できます.
データベースにもインライン形式のデータベースがあります.通常、データベースはページなので、サブページとして作られます.しかし、インライン形式のデータベースの場合、リンクドビューが作成され、その中にデータベースが作成されます.
インライン形式のデータベースの場合、リンクドビューが作成され、データベースはそのリンクドビューのサブページとして作成されます.それに対して、インライン形式ではない(フルページ)データベースは、そのページのサブページとして作成されます.
データベースページを開くと、データベース固有のビューで表示されます.リンクドビューを作成するときに、ソースとしてデータベースを選択し、ビューを作成するときにデータベース固有のビューからコピーすることもできます.
テンプレート
Notionでは公式やコミュニティによって、ページのテンプレートが公開されています.テンプレートからページを新規に作成できます.そうすることで、ページ作成の手間を省くことができます.テンプレートは新規ページやサイドバーからテンプレートを選択して使用できます.また、他の人が公開されているページでは「複製」をすることでテンプレートとして使用することができます(複製は許可されているページでないと使うことができません)
ワークフロー
それでは一通り説明が終わったので,私なりのやり方を説明してみます.キーとなるのはデータベースページです.これを使って構築していきます.まずは空の通常ページを作成して,DB
という名前をつけます.
その下に文書(メモ)用のドキュメントデータベースを作成します.サイドバーのDBページの右にある +
アイコンをクリックすると,DBにページを作成できます.
ページを作成して名前を Documents
とし,DATABASEの テーブル
ページを作成します.
テーブルページを作成すると最初にビューの設定画面になります.まずはデータソースとなるデータベースを選択します.既存のデータベースを選ぶこともできますが,ここでは新規にデータベースを作成します.下の方にある 新規データベース
を選択します.
すると次のようにテーブルビューができます.
ドキュメントデータベース用にプロパティを作成します.カラム横にある +
を選択して新規のプロパティを作成します.
まずは フォルダ
を作成します. 種類
は マルチセレクト
にします.
フォルダ
とタグ
の使い訳ですが、フォルダは必ず1つ以上設定しなければいけないもので、タグは任意です.また、フォルダは複数設定しても構いません.もし、フォルダが不要であれば、フォルダとタグは1つにまとめても構いません.
他にも以下のプロパティを作成します.
Name | Type |
---|---|
キーワード | テキスト |
リンク | URL |
説明 | テキスト |
ファイル | ファイル&メディア |
作成日時 | 作成日時 |
最終更新日時 | 最終更新日時 |
プロパティが多いのでページに表示されるプロパティの設定をします.まずは Documents データベースにある適当なページを開きます.
ページを開いたら右上にある …
から ページをカスタマイズ
を選択します.
ここではページに表示されるコンテンツのカスタマイズができます.ページに 表示されるプロパティの順番と,プロパティの表示条件を設定します.以下は私の設定です.ご自身でお好きなようにカスタマイズしてください.
これでドキュメントデータベースの設定は終わりです.
ドキュメントデータベース以外のデータベースページを DB
ページに追加していきます.例えば,Books とか,Bookmarks、Journal とか.
次に,メインページを作成します.ダッシュボードみたいなものです.ダッシュボードページもドキュメントデータベースに入れていきます.名前は ダッシュボード
とし, フォルダ
には dashboard
に設定します.
作成したページを開き,右上にある ★
を押すとお気に入りページに指定されます.
お気に入りページにするとサイドバーのお気に入りのところに追加されて便利です.
ダッシュボードページにブロックを追加していきますが,ここで追加するブロックはリンクドビューなります.リンクドビューは、各種ビュー形式を指定して作成することもできます.
これで Wiki のような階層構造ではなく,データベースによる管理方法になりました.
ビューの活用
データベースによる管理になったわけですが,ドキュメントが 100, 1000 と増えていきます.データベースは単一データベースにはせず、また作りすぎもよくないと考えます.どういうときに新規にデータベースを作成するかですが、プロパティが増えすぎにならない程度に調整するといいです.リンクドビューが使えるようになってから、データベースとビューを別々に管理できること、1つのリンクドビューに複数のデータベースを扱うことができるため、データベースはある程度数が多くなってもいいと思います.
基本的にドキュメントは編集中のもの,編集が終わって後から検索して参照する2つに分けることができます.ダッシュボードでは編集中のもの,新規にページを作成することが主になりますので,これに合わせたビューを作成します.編集中のものは draft
フォルダに入れます.Documentsデータベースの フォルダ
に draft
を作成しておきます.
次にリストビューを作成します.
データソースには作成したDocumentsデータベースを設定します.
データソースを設定したら次はビューの名前とビュータイプの指定です.データソースを選択すると、そのデータベース固有のビューからコピーする画面になります.ここでは新規にビューを作成するので、新規の空のビュー
を選択します.
ここでは ドラフト
という名前,ビューの形式は リスト
になっていることを確認してください.
ビューの設定画面にある データベース名の表示
は左上のデータベース名を表示するかしないかを設定できます.これは後からでも変更できます.
これでビューが作成されます.ビューを作成したら、ビューのオプション設定をしましょう.ビューの右上にある・・・
をクリックして、プロパティ
を選択します.
ダッシュボードに追加した Documents データベースのリストビューでフィルター設定を行います.
ビューの右上にある フィルター
を押して フォルダ
を選択します.
そして draft
のみ選択します.
これでタグに draft
が含まれているものだけが表示されます.フィルター設定のとき,マルチセレクトタイプは既に存在するオプションがないと設定できないため,適当にドキュメントを作ってオプションを作成しておきます.
このように,フィルタリングされた状態になり,編集中のページを開きやすくなっています.
後はデータベースを作成して、ダッシュボードに随時ビューを追加していくようにしていきます.新規ビューはビューの隣にある+
で追加することができます.
画面サイズが小さい場合、ドロップダウンにまとめられてしまいます.その場合は次のようにビューを追加できます.
また、必要に応じてリンクドビュー自体を増やしても構いません.
検索
Ctrl+P
で検索できます.また、サイドバーから検索
でもできます.また、ビューのフィルターを使ってデータベースを絞り込み検索すると効果的です.そのために、タグやキーワードを上手く使います.また、特定のビュー内で検索する場合.右上にある虫眼鏡のアイコンをクリックすることで検索文字を入力することができます
タスク管理
ダッシュボードにタスクを追加しましょう.まずはDBページに ボード
のデータベースページを追加します.名前は タスク
とします.
データベースは 新規データベース
を選択して新規に作成します.次のようなボードビューが作成されます.
ステータスはステータスプロパティ
というものになっています.ボードビューでドラッグ&ドロップすることでステータスを簡単に変更することができます.
ダッシュボードにタスクデータベースのカレンダービューを設置したいのですが,そのまえにカレンダービューに対応するために 日付
プロパティを追加します.
これで準備できました.早速ダッシュボードにまずはカレンダービューを作成します.データソースは作成した Task データベースを選択します .
カレンダービューの日付に対応するための設定 カレンダーの表示基準
の項目が作成した 日付
プロパティであることを確認します.
適当にビューの名前をつけてビューを作成します.
タスクの 日付
プロパティに日付を設定していればカレンダービューにも反映されます.
次にタスクのリストビューを作成します.
フィルターの設定をします.
日付順でソートするように設定します.
使いやすいように他のビューを作成してフィルターやソートの設定をしてみてください.
ここまでのまとめ
新しく管理するデータベースをDBページに追加します.ダッシュボードおよびそのサブページなどでリンクドビューを使って参照します.ドキュメントは Documentsデータベースに作成していきます.ダッシュボード以外の特定のダッシュボードに相当するページも Documents データベースに入れていきます.基本はこの流れです.
JournalデータベースとBookmarksデータベース
Web Clipper や Twitter などのSNSからの共有にも Notion は使えます.そういったサービスからの入力は Journal
データベースやBookmarks
データベースに入れます.この2つのデータベースは1つにまとめてもらっても構いません.使い方としては、Journalデータベースは日付に強く関係しているもの、例えばニュースなどその日に起きたことなどです.また、このデータベースに日記を書く使い方もできます.Bookmarksデータベースはそれ以外のものに使います.それでは、DBページにJournalデータベースとBookmarksデータベースのサブページを作成します.
ブラウザの拡張機能 Notion Web Clipper
を使ってNotionに保存するときのデータベースにJournal
やBookmarks
を選択します.
Notion Web Clipper
を使って保存するときにタグなどの情報を同時に設定できません.その場合は保存してから Notion でページを開いて設定します.
Chromeのブラウザ拡張機能 SaveToNotion
を使うとクリップ時に細かい設定が可能です.
最終的なページ構成
ということで,DB ページ以下に各データベースがあるだけの構成になります.各ページはいずれかのデータベースに含まれています.大分スッキリしていると思います.
アイコン
ページごとにアイコンを設定できます.標準で用意されているアイコン以外に絵文字や自分で用意したもの(カスタムアイコン)を使うこともできます.
もともと、アイコンは絵文字とカスタムアイコンのみでしたが、標準で使えるアイコンが追加されました.さらに色もいくつか指定できます.
私は、このアイコンを使ってページを視覚的にわかりやすくしています.使っているのは基本4色です.
(Lightテーマ)
(Darkテーマ)
マゼンタ色はダッシュボード、黄色はデータベース、青色はテンプレート、緑色は重要なページとして使っています.特にデータベースはリンクドビューや外部ツールで指定することも多く、検索でデータベースページかどうかがわかりやすくなるので、アイコンを設定することをオススメします.
アイコンの種類に関しては過剰にさまざまな種類のものを設定しないほうがいいと思います.適切なアイコンがなければ一貫して同じアイコンを使うべきだと思います.
ギャラリービューを使ったビューの管理
リンクドビューにビューを多く作ってしまうと、画面に表示しきれずにドロップダウンにまとめられます.たとえ多く作らなくても画面サイズが小さいと、2つでもドロップダウンにまとめられます.個人的にそれは使いづらく感じました. そこで、ギャラリービューを使うとかなりマシになります.具体的にはギャラリビューで作成したデータベースの各ページがビュー1つに対応するようになります.この方法だとビューの切り替えがボタンになります.スマホなど画面が小さいものだとかなりストレスフリーになります.例えば、普通にリンクドビューにビューを作成すると次のようになります.
ギャラリビューにすると、次のようになります.
ただし、この方法にもデメリットがあります.まず、ビューを切り替えるごとにページも切り替わることになりますので、いくらか読み込みの時間が増えることになります.また、ビューを作るためにページを作らなければなりません.これはデータベースのテンプレート機能を使うことで軽減できます.
あと、この方法では Center Peek にするといいです.ビューを切り替えるときに最初のリンクドビューの画面で操作できます.ただし、スマホやタブレットなどの場合はこれができません.あと、Center Peek の場合、前の画面に戻る場合はショートカット Ctrl+[
を使うと1つ前のビューに戻ります.そうでないと最初のリンクドビュー画面まで戻ります.
命名規則
ページが多くなってくるとダッシュボードやサイドメニューからのナビゲーションも重要になってきますし、検索も使うことになってきます.検索を使う場合、ページ名に規則性を持たせると目的のページが見つかりやすくなります.
ページ名
私 の場合、以前は ..{id}
をページの後ろに追加していました.例えば、Dashboard..da
とし、検索時は ..da
とすればこのページが検索結果でトップになります.現在は | {key}
としています.例えば、Dashboard | 1
、 Task | DB
, Javascript | Lang
、 表現集 | Eng
というようにしています.ダッシュボード系は数字にしていてすぐに入力できるようになっています.それ以外だと主にカテゴリになっています.カテゴリで検索したい場合は | {key}
と検索します.ただ、この方法だとそのページのリンクを作成すると表示が冗長に感じることがあります.
すべてのページに対して、この命名規則を適用しているわけではありません.主要なページのみです
データベース名
その他に、先ほど紹介したギャラリービューを使ったビューの管理をしている場合、そのデータベースには _Views
という名前を一貫でつけています.また、DBページのサブページにないデータベースでよく参照する場合は、その データベース名に | sDB
をつけています.これは Sub DB の意味ですが、なんでもいいです.(DBページにあるデータベースには | DB
をつけています)
先頭に _
ページの先頭に _
をつけると、検索結果の優先度が下がる(他の一致したページが優先される)ように感じました.そのため、検索結果に表示してほしくないものは _
を先頭につけています.
データベースやリンクドビューの標準ビュー
データベース、およびリンクドビューは必ず1つ以上のビューを持っています.ビューの中から標準ビューなものを選んで Default
という名前をつけるようにしています.ただし、必ずつけているという訳ではありません.少なくともデータベースには Default ビューが存在するようにしています.
バックリンク、ピン
Wikiのような階層型ではなく、データベース主体の管理方法 では検索やビューの使い方が重要になってきます.といっても、最初は各ダッシュボードからそれぞれに対応したビューやページを辿っていくことになります.サブページであればその階層を辿ることができますが、データベースの子ページでは、親がデータベースになるので、ダッシュボードで子ページをリンクしている場合、データベースの子ページからそのダッシュボードに戻れるリンクがあると便利な場合があります.基本的にブラウザの戻るでいいのですが、バックリンクでもダッシュボードに行けるようにします.そんため、ダッシュボードにピン用のコールアウトを作成します.そこにバックリンクを貼るページをリンクします.これで、ピンしているページはダッシュボードからすぐにアクセスできるし、バックリンクで戻ることも可能になります.
私のテンプレート
テンプレートを公開しています.興味があれば活用してみてください.
Workflow
ここで紹介しているワークフローのテンプレートです.
Workflow | Notionワークフローのテンプレートです
Structured Notebook
1つのページが肥大化してしまったり、1つのトピックでドキュメントをまとめたい場合のために作りました.1つのトピック=1つのデータベースで管理します.詳しくは、テンプレートの「はじめにお読みください」を参照してください.
Structured Notebook | Notion構造化ノートブックのテンプレートです
WBS
サブアイテム機能を使って WBS (Work Breakdown Structure)を管理するテンプレートです.詳しくは、テンプレートの「はじめにお読みください」を参照してください.
家計簿
家計簿のテンプレートです.詳しくは、テンプレートの「はじめにお読みください」を参照してください.