自分用にVSCodeのアウトライン拡張を作ってみました
標準でアウトラインに表示されるシンボルは多すぎて使いづらいので、自分好みのシンボルをアウト ラインに表示させるようにするために拡張機能を作りました.ここでは開発の備忘録としていくつかまとめておきます.
はじめに
VSCode の標準機能にあるアウトラインにはシンボル情報が表示されます.設定で一部を非表示に出来たり、Ctrl+F
キーを押すと検索で絞り込むことができます.
また、シンボル検索(Ctrl+Shift+O
)を使うこともできます.これはコマンドパレットで @
と入力しても同じ結果になります.
ここで @:
と入力すればカテゴリごとに分けて表示されます.
検索を使えば事足りそうな気がしますが、しばらく触っていなかったりするとそもそも関数名とか何があるのかを記憶していません. もう少し自分に優しいシンボル検索がとても欲しいと感じました.
目印と関数
アウトラインとして欲しいものに「目印(マーク)」と「関数(メソッド)」の2種類があります. 関数は標準の機能でありますが、目印は拡張機能を導入する必要があります. 今回は、アウトラインに目印を表示してくれる拡張機能「Marks To Outline」のソースコードを調整して自分好みのアウトライン機能を作りました.
Marks to outlineAdds MARKS symbols to outline view
次のようなアウトライン表示になります.
目印は MARK: ***
と記述するようになっています.
また、シンボル名にはそれぞれ M:
、 F:
を付けています.これによってシンボル検索で、目印は @M:
、関数は @F:
で絞り込むことができます.
VSCode拡張機能の作成
Node.jsの環境で作成します.以下を参考にしました.
VSCode Extensions(拡張機能) 自作入門 〜VSCodeにおみくじ機能を追加する〜VSCode Extensions(拡張機能) 自作入門 〜VSCodeにおみくじ機能を追加する〜
まず、yo
, generator-code
パッケージが必要なのでインストールします.
npm i yo generator-code -g
Node.jsのバージョンも条件を満たすようにアップデートしました.
$ node -v
v18.17.1
$ npm -v
10.2.5
ひな形を作成します.
$ yo code
次に Marks to Outline を参考に実装していきます. 別に Marks to Outline をクローンして編集しても問題ありません.コードが比較的少ない場合は、どのような処理をやっているかを確認するためにもよく書き写しています.
機能の追加
Marks to Outline には目印をアウトラインに表示する機能がすでに入っています.そこに関数を追加します. 関数は目印と同様に正規表現で抽出します.ただし、1行でしか判定していないので正確な関数抽出は出来ません.これは妥協しました.
関数は無視パターンと一致パターンを使って、先に無視パターンで弾いてから一致パターンでチェックするようにしています.
const funcIgnorePatterns = [
"^\\s*[a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+\\([^;]*\\)[^;\\{]*$",
"^\\s*[a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+\\([^(=>);]*\\{.*$"
];
const funcSearchPatterns = [
"^\\s*([a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+)\\([^;]*$",
"^\\s*([a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+)<[^\\(]+>\\([^;]*$",
"^\\s*function\\s*([a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+)\\([^;]*$",
"^\\s*function\\s*([a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+)<[^\\(]+>\\([^;]*$",
"^\\s*(?:const|let|var)\\s*([a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]+)[^;]*=\\s*async\\s*\\([^;]*$",
];
一応、async
やアロー関数も対応していますが、まだまだ調整は必要だと思います.
また、JavaScript(+TypeScript)にしか対応していません.これは随時更新していけばいいかなと.
DocumentSymbol
Marks to Outline では vscode.SymbolInformation
をシンボルプロバイダの生成物として返しているのですが、これだとアウトラインの階層表示に対応できません.
階層表示させるには vscode.DocumentSymbol
を使います.詳しくは、以下を参考にしました.
VS Code拡張API - DocumentSymbolProvider
具体的には vscode.DocumentSymbol
で親子関係を構築していけばよいみたいです. vscode.DocumentSymbol.children
に vscode.DocumentSymbol
を追加していく感じです.
const vscodeSymbols: vscode.DocumentSymbol[] = [];
const markGroup: vscode.DocumentSymbol = new vscode.DocumentSymbol(
"MARKS",
"",
vscode.SymbolKind.Key,
new vscode.Range(new vscode.Position(0, 0), new vscode.Position(0, 10)),
new vscode.Range(new vscode.Position(0, 0), new vscode.Position(0, 10))
);
resultMarks.map((result: MarkTokens) => {
markGroup.children.push(
finder.makeDocumentSymbol(
{ ...result, document },
vscode.SymbolKind.Key,
"M: "
)
);
});
vscodeSymbols.push(markGroup);
const funcGroup: vscode.DocumentSymbol = new vscode.DocumentSymbol(
// (...)
);
// (...)
vscodeSymbols.push(funcGroup);
この vscodeSymbols
を provideDocumentSymbols
メソッドで返すようにしています.
パッケージの生成とインストール
デバッグをしていい感じになったら、パッケージングします.
この時 README.md
を編集しないと怒られるので適当に編 集します.以下のコマンドでパッケージが作成できます.
npx vsce package
拡張子が .vsix
のファイルが生成されます.VSCode上ならこのファイルを右クリックからインストールできます.
役に立ったサイト
拡張機能のアクティベートの部分に関しては次のサイトを参考にしました.
Visual Studio Code 拡張機能のアクティベート activationEvents
合わせて使いたい拡張機能
おまけで TODO Highlight
という拡張機能を使うと、目印のコードをハイライトすることができます.
TODO Highlighthighlight TODOs, FIXMEs, and any keywords, annotations...
インストールしただけではダメで、カスタマイズする必要があります.
設定で todohighlight.keywords
を追加します.以下は私の設定です.
"todohighlight.keywords": [
{
"text": "NOTE:",
"color": "#242424",
"border": "1px solid #66D9EF",
"borderRadius": "2px",
"backgroundColor": "#66D9EF",
"overviewRulerColor": "transparent"
},
{
"text": "//!",
"color": "#242424",
"border": "1px solid #A6E22E",
"borderRadius": "2px",
"backgroundColor": "#A6E22E",
"overviewRulerColor": "transparent"
},
{
"text": "MARK:",
"color": "#242424",
"border": "1px solid #A6E22E",
"borderRadius": "2px",
"backgroundColor": "#A6E22E",
"fontWeight": "600",
"isWholeLine": true,
}
],
次のように表示されます:
これで少しは快適になった感じがします.もしかすると便利な拡張機能や標準で出来るかもしれません. ちなみに、今のところ作成した拡張機能は公開する予定はありません. 以上です.